コラム-しっぽの向くまま

銀太が来て、わたしの「家」の意味が変わった|妻目線で振り返る柴犬との日々

※ 今回のコラムは、しばごろうの妻が書きました。
 いつもと少し違う目線で、銀太のことをお届けします。

正直に言うと、最初は反対だった。

夫が「柴犬を飼いたい」と言い出したとき、わたしはすぐには賛成できなかった。

犬を飼ったことがなかったし、世話ができるか自信がなかった。

仕事もあるし、生き物を育てることへの責任を、どこかで恐れていた。

それでも夫の熱量に押されるようにして、銀太をうちに迎えることになった。

あのころのわたしが今の自分を見たら、きっと驚くと思う。

毎朝銀太の様子を確認して、散歩の天気を気にして、帰り道に「早く銀太に会いたい」と思っている自分を。

銀太が来て、わたしの「家」の意味が変わった。

今日はそのことを書いてみたいと思う。

銀太が来た日のこと

銀太がうちに来た日のことは、今でもはっきり覚えている。

キャリーバッグから出てきた小さな体が、おそるおそる部屋の匂いを嗅ぎ始めた。

怖いのか、緊張しているのか、それとも単に慎重なのか。

ただそこにいるだけなのに、部屋の空気が変わった気がした。

夫はすぐにしゃがんで話しかけていた。

わたしは少し離れたところから見ていた。かわいいとは思った。

でも「家族になった」という実感は、そのときはまだなかった。

銀太もわたしのことを、しばらくの間じっと観察していたと思う。

最初は、距離があった

銀太がうちに来て最初の1ヶ月、わたしと銀太の間には少し距離があった。

夫にはすぐになついていた。

わたしには近づいてこなかったわけではないが、どこか様子をうかがっているような感じがした。

わたしの方も、どう接すればいいかわからなくて、少し遠慮していた。

ある日の夜、夫が夜勤で家にいなかった。わたしと銀太の二人きり。

銀太はいつも寝ている場所にいて、わたしはソファにいた。

特に何もしない静かな夜だった。

ふとリビングを見ると、銀太がいつの間にかソファの横に来ていた。

何も言わなかった。わたしも何も言わなかった。ただ、同じ空間にいた。

あの夜のことが、わたしにとっての始まりだったかもしれない。

銀太が変えてくれたこと

銀太が来て、いくつかのことが変わった。

帰宅が楽しみになった。

以前は「家に帰る」ということが、特別な感情を伴わないことだった。

鍵を開けて、電気をつけて、それだけ。今は違う。

鍵を取り出すときから、少しだけ気持ちが上がっている。

ドアを開けると銀太がいる。それだけで、帰ってきた気がする。

朝の時間が変わった。

銀太が来てから、朝に外に出るようになった。

散歩のついでに朝の空気を吸う。

それまでの自分には考えられなかったことだ。

朝の光の色が、季節によってこんなに違うことを、銀太が教えてくれた。

「一緒にいる」ということの意味が変わった。

夫とわたしが同じ空間にいるとき、以前は「並んでいる」感じだった。

今は銀太を中心に、三人がいる感じがする。

銀太の行動を見て笑う。銀太の変な寝方にツッコミを入れる。

そういう小さな共有が、毎日少しずつ積み重なっている。

「家」が変わった

銀太が来る前の家と、来てからの家は、同じ場所にある同じ部屋なのに、どこか違う。

言葉にするのが難しいのだが、「戻ってくる場所」という感覚が強くなった気がする。

以前は家は「いる場所」だった。今は「帰る場所」になった。

その違いは、銀太がいるかどうかだと思う。

銀太は何もしていない。ただそこにいる。

でも「そこにいる」ということが、こんなにも空間の意味を変えることを、わたしは知らなかった。

生き物を迎えるということが、こういうことだとは、思っていなかった。

まとめに代えて

今日も銀太はリビングにいる。

特に何もしていない。ただいる。

夫が帰ってくるまでの時間、わたしと銀太だけの静かな夕方がある。

反対していたころの自分が、遠い昔のことのように感じる。

あのとき反対しなくてよかった、とは少し違う。

反対していたわたしの気持ちも本当だったし、今の気持ちも本当だ。

ただ、銀太が来てくれてよかった、とは、心から思っている。

「家族になる」というのは、宣言することではなくて、気づいたらそうなっていることなのかもしれない。

銀太がいつからわたしにとっての家族になったか、正確にはわからない。

あの夜ソファの横に来た日かもしれないし、もっと前かもしれないし、もっと後かもしれない。

でも今は、確かにそうだ。

(このコラムは、しばごろうの妻が書きました。銀太のことを書いていたら、
 思ったより長くなってしまいました。それだけのことが、あったのだと思います。)

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