
🐾 企画:「もし銀太が話せたら」シリーズ 全2弾
「愛犬が言葉を話せたら、何て言うんだろう」 柴犬と暮らしていると、ふとそんなことを考える瞬間があります。
この企画では、同じ問いを 「銀太目線」 と 「妻目線」 の2本立てでお届けします。 同じ犬と同じ日常を、立場を変えて読み比べてみてください。
くすっと笑えて、最後はちょっとじんわりする。そんな読み物です。
【第一弾】銀太が語る「ぼくの心の声」 【第二弾】妻が想像する「銀太の言いたいこと」
ぼくは、柴犬の銀太です。
毎日のごはん、散歩、昼寝、ご主人のしばごろうとの攻防。
いろいろあります。言いたいことも、まあ、あります。
でも言葉がないから、ぼくはいつも目で語るしかない。
鼻で主張するしかない。しっぽで交渉するしかない。
……今日は特別に、全部しゃべります。
朝のこと
毎朝、ぼくがご主人の”しばごろう”の顔に鼻を押し付けるのは、起こしたいからじゃないです。
においを確認しているんです。
「しばごろうは、ちゃんと生きているか」「機嫌はどうか」「散歩に行ける状態か」。
これは重要な情報収集です。プロの仕事です。
散歩の時間が近くなると、ぼくはわざとリビングをうろうろします。
あれは「早くしろ」というメッセージです。
しばごろうはだいたい気づかないふりをしますが、ぼくは知っています。気づいています。ただ、面倒なだけです。
ごはんの前にお座りをするのは、別に言われたからじゃないです。
ごはんが来るのがわかっているから、自分からやっているだけです。
ぼくのほうが一枚上手なのです。
家での時間のこと
ソファの端っこはぼくの定位置です。
しばごろうが「そこは俺の場所だ」と言うけれど、ぼくが先に座っていたらぼくの場所です。
これは普遍的なルールです。
撫でてほしいときは、膝に顎を乗せます。
でも長くなるとちょっと重くなってくるので、さりげなく顎を引っ込めます。
これは「もういい」ではなく「ありがとう、ひと段落」です。
乗せたくなったらまた乗せます。
しばごろうがスマホを見ているとき、ぼくがじっと見つめるのは「かまえ」ではないです。
「そのスマホより、ぼくのほうが面白いと思うけど」という提案です。
採用されないことが多いのが残念です。
夜のこと

夜、ぼくが丸まって寝るのは寒いからです。
でも正直に言うと、しばごろうの帰りを待っていることもあります。
夜勤で遅い日は、玄関の音がするまで薄目で起きています。
帰ってきたとき、ぼくはわざと寝たふりをします。
「別に待ってたわけじゃない」というポーズです。
でもしっぽが少し動いているのはご愛嬌です。
しばごろうが隣に座ると、ぼくは少しだけ近づきます。くっつくわけじゃないです。
ちょっと近くにいるだけです。これが「柴距離」というものです。
遠くもなく、近くもなく。ちょうどいい。
言葉があったら、一回くらいは言えたかもしれないです。
「今日もお疲れ様」って。でもそれは言わなくていいかな、とも思っています。
ぼくがそこにいるので、わかるはずです。
最後に言いたいこと
以上が、ぼくの心の声です。
伝わっているかどうかはわからないけれど、たぶんしばごろうはだいたいわかっています。
ちゃんと見てくれているので。
言葉がなくても、一緒にいる時間が長ければ、だいたいのことは伝わります。
ぼくはそう思っています。
ひとつだけ確実に言えること。
ここにいるのは、嫌いじゃないからです。
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